これまでの、ネックの変化を書いていきます。
1.構造の変化
1949〜1958年 メイプルワンピース
テレキャスターの最初のネックは、フィンガーボードが一体になった一つのメイプル材のものでした。 当時、他社のギターはそもそもネック材にメイプルを使用するという例がなく、マホガニー等にローズウッドやエボニー等の指板を貼り付けるというものが一般的でした。 現在では当たり前の仕様ですが、おそらく当時としてはかなり奇抜な仕様だったのではないでしょうか。もともとスパニッシュギターを作っていた会社ではなかったからこそ出た新しい発想ということでしょうか。 写真はネックを外して下側から見ている物です。完全にワンピースですねー

ワンピースネックは、トラスロッドを入れるためにネックの裏側に溝が掘られ、その部分をウォルナット材で塞いでいる構造になっています。 その部分をスカンクストライプと言います。

1959年〜1962年前半 スラブローズウッド
59年から、フィンガーボードがローズウッドになりました。 58年にフェンダー社の最上位機種ジャズマスターが出て、それが好評だったらかとか、メイプル指板は汚れが目立つためとか、色々説はあるようです。 この頃はメイプルとローズウッドの接着面が平らで、スラブ貼りと呼ばれています。


メイプル部分との境目はヘッド側に扇型になっています。これがぱっと見でスラブかどうかを判別するポイントです。

トラスロッドは指板との接着面から挿入されているため、スカンクストライプが無くなりました。写真はストラトのネックですが、こういう感じになりました。

1962年後半〜 ラウンドローズ
この時期から、メイプルとローズウッドの接地面が曲面になります。英語だとベニアとかという表記だったりします。 このローズウッドの厚さの違いで音が変わるなんて言う事を感じ取れる人もいるみたいです。正直、自分は敏感な耳を持っていないので聞き分ける自信はありません! 62年リイシューとかは割とスラブで作られている事が多いので、62年=スラブだと思っていたのですが、本物の62年ヴィンテージを見たときにラウンドだったので驚いた時がありました。それは後期ものだったということですね。 63年後半からローズウッドが更に薄くなるということなんですが、写真でしか見たことのない自分にはちょっとよくわかりません。。


スラブとは逆で、ヘッドと指板の境目はブリッジ側に扇型になっています。

1966年〜 貼りメイプル登場
59年以降は、ローズウッド指板だけだったのですが66年からメイプル指板も選ぶ事が出来るようになります。 ただし、ワンピースではなく、メイプルネックに薄いメイプル指板を貼り付けるという、二度手間としか思えない仕様でした。 この時期は、メイプル指板でもスカンクストライプが無い仕様です。


1969年〜 ワンピースメイプル再登場
やはり二度手間だったのでしょうか?メイプルワンピースネックが復活し、ローズウッドと2種類でこの後の時代までずっと続きます。(一時期特定モデルにエボニー指板も有ります)


これ以降、ローズウッド指板でもスカンクストライプが有ります。


2.ポジションマーク
メイプル指板
1951年〜58年
黒いドットのポジションマークです。

53年に12フレットのドットの間隔が中心と中心の距離で1インチ→1.125インチに広がるという変化がありました。

1966年〜
貼りメイプル復活からは12フレットポジションマークが狭いです。

ローズウッド指板
1959〜63年

クレイドットと言われる茶色のようなクリーム色のような色合いのポジションマークです。 63年に12フレットの幅が狭くなりました。

1964年〜

パーロイドドットいう、名前の通りパールのような華やかな見た目のセルロイド製のポジションマークです。 ドットのサイズも大きくなっています。
3.指板アール

写真を見て貰うとわかるのですが、指板は平らではなく、山なりになっています。フェンダーの山は他社のものよりもきつく、半径(Rとか、ラディアスとか言います)7.25インチの曲線のものが標準です。 弦高を低くするとチョーキングで音が詰まったりするので、現代では9.5インチとか、ポジションによってRが変化する仕様などが現れています。
4.ローズウッド
1959年にテレキャスターでも使われる始めたローズウッドですが、65年頃の前後で材質が違います。
〜65年頃
ブラジリアンローズウッドという、その名の通りブラジルで採れたローズウッド材が使われていました。ブラジリアンローズウッドは別名、ハカランダと呼ばれています。
65年頃〜
インディアンローズウッドという、これもまたその名の通りインドで採れたローズウッドです。
違い
ハカランダとインディアンローズウッドは植物的には同じものとされている場合も有ります。 ただ、弾いた事がある人の感想をまとめると、ハカランダの方が硬質な材のため、輪郭のはっきりした音が出る傾向があるようです。 自分もお金があればハカランダを選択したいです。ただ、理由は完全にイメージです。 60年代前半まで、ギターの指板等に使われるローズウッドといえば、ブラジル産が「普通」だったようで、手に入りやすい価格帯のギター等でもハカランダが普通に使われていました。高級な材質を使っていたというわけではありませんでした。 60年代中盤に、ブラジル政府が資源保護を目的にローズウッドの輸出に制限をかけたため、各楽器メーカーはインド産のローズウッドを使用し始めました。 その後、ハカランダはワシントン条約で取引制限がかけられ、どんどん希少価値が増し現在では高級材になっていきました。
将来
現在(2017年1月〜)はインド産を含め全ローズウッド種にワシントン条約で取引制限が始まり、代替材料としてパーフェローという材が指板材として使われ始めています。 将来的にはインディアンローズウッドのギターも現在のハカランダと同じような扱いになる可能性も??0ではないかもしれませんね。
どうでもいい話
ローズウッドは、薔薇の木でないのですが、薔薇のような香りがするのだそうです。
5.フレットサイズ
ヴィンテージ系のフレットは、細くて背が低いものが採用されています。 フェンダーカスタムショップに断面を図で解説しているものが有りましたので見てもらうとわかりやすいかと思います。 最近はヴィンテージリイシューでも6105とかの仕様をよく見ますよね。きっと弾きやすくて良いんだろうなと思いますが、弾いた事有りません。。。

自分は学生時代ずっとレスポール系のデカくて太いフレットのギターしか弾いた事がなくて、初めてヴィンテージ系のフレットのギターを弾いた時は全く音が鳴らず、愕然としました。自分はこんなに下手だったのかと。 それ以来、太いフレットのギターに慣れてしまうと下手になってしまうのではないかという勘違い的な恐怖感から、ヴィンテージ系のギターばかり弾いています。 レスポールも持っているのですが、メインでは使わないようにしてます。 まあ、それでも下手なんであまり意味は無いですが、、、